すべては「強くも弱くも弾ける楽器」を目指して
今日は私たち音楽教室を支えてくれているピアノの歴史を振り返ってみたいと思います🎹
では、タイムスリップ🥳
18世紀初め、イタリアの職人バルトロメオ・クリストフォリ(Bartolomeo Cristofori)が、まったく新しい楽器を発明しました。
それまで主流だったチェンバロやクラヴィコードは、どんなに叩き方を変えても音の強弱をつけることが難しかったのです。
クリストフォリは、「強くも弱くも自由に音を出せる楽器」を夢見て、ハンマーで弦を叩く仕組みを考案しました。
これが、今日のピアノの原型です。
ちなみに当時は「ピアノ」とは呼ばれておらず、正式な名前は
「gravicembalo col piano e forte」(強弱がつけられるチェンバロ)!
……長すぎますよね(笑)
ここから「ピアノフォルテ」→「ピアノ」と短く呼ばれるようになりました。
ピアノは最初、あまり人気がなかった!?
意外かもしれませんが、クリストフォリが作った最初のピアノは、当時の音楽界ではあまり注目されませんでした。
なぜなら、まだ技術が未熟で、音量も小さく、楽器自体もとても高価だったからです。
その後、改良が進み、徐々にヨーロッパの宮廷や上流階級の間で広まり始めました。
中でも、オーストリアの作曲家ハイドンは、初めてピアノに触れたとき、「これは未来の楽器だ!」と大興奮したとか。
彼はその後、ピアノのための曲も数多く残すことになります。
ベートーヴェンがピアノを爆発的に広めた!
ピアノの普及に大きな役割を果たしたのが、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンです。
彼は耳が聞こえなくなった後も作曲を続けましたが、ピアノの鍵盤の振動を感じながら作曲していたという逸話が残っています。
また、彼はピアノに強い感情表現を求め、より頑丈で音の大きなピアノを求める声を高めました。
これに応えるため、ピアノ製作者たちはハンマーを重くし、フレームを鉄で強化し、音量も迫力も大きく進化していったのです。
ピアノが「家庭のシンボル」になった時代
19世紀後半になると、ピアノはヨーロッパやアメリカの中流家庭にとって憧れの家具となりました。
「娘がピアノを弾ける家は裕福で文化的である」
そんな価値観が広まり、ピアノは音楽教育の中心に。
リビングルームの一角にはグランドピアノやアップライトピアノが置かれ、家族や友人が集まって演奏を楽しむ光景が一般的になりました。
ちなみに、当時の広告では「ピアノが弾ければ良い結婚ができる」なんてコピーも使われていたそうですよ(笑)。
そして現代へ。ピアノの進化は止まらない
現在では、アコースティックピアノだけでなく、デジタルピアノやハイブリッドピアノも登場し、誰でも手軽に音楽を楽しめる時代になりました。
それでも、本物のグランドピアノが生み出す豊かな響き、手の感触、ダイナミクスの表現力は、今も昔も変わらぬ魅力を放っています。
ピアノは、300年以上もの間、無数の人々の心を動かし続けてきた”音楽の魔法の箱”。
あなたも、その魔法に触れてみませんか?